Falsettosを観たら呼吸困難に陥りました。
Falsettosを観に行きました。
情報が出た時からもう行く!!ってなってましたけど、ホント行ってよかった。自分褒める。
人生で一番号泣した作品になりました。うん、あれって泣かない人いるの?
作品の背景や詳しいあらすじはウィキ参照してくださいな。Falsettos - Wikipedia
最近は予習もなにもせずに観に行くことにしているので…「女性と結婚して息子がいる男性が奥さんと別れて男性の恋人を作って」という話ということしか頭に入れてなかったんですけど、それでよかった気がした。
まず始まって、「I'm Jewish!」
ふぁっ!?ユダヤ!?!?って混乱。話を進めていくうちに、バルミツワーというユダヤ教の成人式のようなものがあるのですがそれがキーワードなことにがわかる。
心配してたユダヤ教に関しては特に問題なく…話にグイグイ引き込まれました。
結末としては、主役マーヴィンの恋人のウィザーが病魔によって亡くなってしまい彼のお葬式で幕は閉じます。79年から81年の話なので主にゲイの間で何やら嫌なものが広がっている…と、ようやく認知され始めた頃。病名は言わなくてもわかると思いますが…。
LGBT関連の話かと思ったんですけど、そういうテーマよりかは家族という大きなテーマと自分は一体何者なのか?というところで攻めてくるもので、ゲイだろうがレズビアンだろうが、そうじゃなかろうが…たぶん全員に当てはまるような、かなり心に刺さる作品でした。
特に派手な作品ではないんですけど、ジワジワくる感じ。
その派手じゃない作品をキレイにまとめあげた要因は…まずは役者さんがとにかく素晴らしかった。ずっと歌で綴られるミュージカルなんですけど、私ずっと歌な作品苦手なんですよね。なのに今回はいい具合に言葉をのせる方がすごく多くて、今歌ってます!!って感じが全然しなくてスッと受け入られた。
主役 マーヴィンのクリスチャン・ボール
CBはコメディの印象が強かったんですけど、こんなシリアスな芝居もサラッとこなせるんだなぁと驚き。こんだけ忙しいスケジュールになるのも納得すぎた。コメディもできて、踊れて、歌えて、シリアスなものもできて…無敵か。
彼自身はゲイじゃないけれど同性が(というかウィザーを)好きな雰囲気も出ていたし、一方で父性もきちんと出てて…その微妙なラインがとてもいい塩梅だった。
ただ、ウィザー好き!好き!じゃなくて、ホントに自分でいいのだろうか、とかホントに彼を愛しているのか…とかそういう一瞬の揺れ動く心に目が離せなくて。
一幕ラストの息子のジェイソンに向けて、自分のやったことは最低だけれども、それでもお前を愛していると歌う「Father to Son」の優しさが…もうね。いい具合に泣いて幕間。
二幕はマーヴィンがベッドの中でウィザーを思う「What More Can I Say」からスイッチ入っちゃってずっと泣いてました。呼吸困難だし嗚咽だし辛すぎるからなんならもう早く終われってさえ思った…
ラスト、マーヴィンとウィザーが歌う「What Would I Do? 」なんかもう見てられなくなるほど。
終演したら隣のおじさまに大丈夫?なんて声かけられた(^^;; 相当肩を震わせていたらしい(^^;;
マーヴィンの恋人、ウィザーのアンドリュー・ラネルズ
ラネのあの可愛さホントなんなんだろうね…甘え上手っていうか、なんかもうずっと可愛い。たとえワガママとかそういう性格でも許しちゃう!みたいなやつw
ほっとけない感じ出ちゃってるから、ウィザーがどんどん弱っていくところにすっごいもってかれちゃって、ずっと物語の中に入っちゃった。客っていう傍観者にはなれなかったわ。
メンデル役のブランドンはそれっぽいなぁと思ったらホントにユダヤ系だった。
あと声がチップさんに似てる!と思ったら…なんとこの役のオリジナルキャストはチップさんらしいw目玉飛び出そうだったwうそん(笑)そうか、そうかと納得。
マーヴィンの別れた奥さん、トリーナ役のステファニーもすっごい上手かった。
というか、影の功労者は完全に彼女だった。ショーストップも起きてたし見方によっては主役を食ってた気もするけど、食う寸前で引くっていうか…それがすっごい上手いの。
ステファニーもそうだけど、今回は特に全員が出るところと引くところを完全にわかってたと思う。言い方変かもしれないけど、すっごい協調性のとれてたカンパニーだった。
トレイシーもベッツィも上手いのにちょい役で勿体無いなぁと思ったけど、だからと言ってグイグイ前に来る感じでもなくて役としての立ち位置をわかってるっていうか、みんなが作品を大事にしてる感じが伝わってきて、なんかそれだけでもうありがとうございますごちそうさまです。
子役のジェイソンのアンソニーくんも程よく子供と大人の間を表現してたように見えました。
Fresh Face: Anthony Rosenthal of FALSETTOS
両親が別れて、パパが男と付き合い始めて、ママが再婚して…って盆と正月が一緒にキタってくらいのもうわけわかんないであろう感情を包み隠さずに伝えてくれたなぁ。
「パパは愛が世界一美しいものだと言ったけど、そうは思わない。チェスだと思う」ってずっと頭の中で流れてた。自分もゲイになるんじゃないか?という不安もジェイソンの中にあって。だからパパのことも受け入れることができるようになったとき、あージェイソンーーー(T_T)ってまた泣くっていう。
しかも、一幕でマーヴィンとウィザーは別れるんだけど、それをまた結びつけてくれたのもジェイソンっていう。大人どもー!ジェイソンに感謝しなさいよ!!って言いたくなるくらいのあれ。
ジェイソンにとってウィザーはとてもとても大切な友達。
ウィザーの体調が悪い中で、バル・ミツバーをやるかどうかということを両親と話し合います。どんどん弱っていく友達を見て、神様に向けて「バル・ミツバーやるからその代わりに友達を助けて欲しい」と歌うAnother Miracle of Judaismなんてもうさ…コレ書きながら泣いてるよ。最終的にジェイソンはバル・ミツバーをウィザーの病室で(しかもサプライズで)行います。だからその友達が死んじゃった時の表情が悲しすぎたわ。
今回は子供の直球的な感情が全面に出てたから、その船に一緒に乗ってられることができて良かったなぁ。私だってまだまだわからないことたくさんなので、ジェイソンと冒険できてラッキーだった。だって、もし私が小さい時に両親がそんなことになったら意味わかんないもん絶対。
で、なんでこんなに刺さったかっていうとストーリー展開にあると思った。
全体的にキャラクターの内面的な感情や心情を吐露してるような歌が続くんですよね。精神科医のメンデル(後にトリーナと再婚)に話すものも含め。
だからラストになったときに、そのキャラクターがさっき歌ってたことを思い出して、この人はあの時こういう感情だったよなぁって思えることができるんですよね。
で、こういう風に考えが変わったんだなとか動いたんだなぁとか垣間見ることができて。それがすっごい刺さった。人間は不完全なものだけど、家族や愛によって完全に近いものにできるんだなって。しかもキャラクターを深く知れるので感情移入できる場面がとても多いと思う。
演出も面白かったです。
最初は何もないんだけど、積み木みたいに組み立てていくセット。
椅子にもテーブルにもなったり家にもなったり。
積み上げては壊し、壊しては別のものに作りかえて…っていう作業がキャラクターの心情に重なる部分があってグッときたし、純粋に色んな形になっていくのを眺めるのも楽しかった。
こちらも派手さはないけど、しっかり地に足をつけて物事を運んでいくタイプ。こういうのって役者の力を信じてるからこそできるパターンだし、作品の核をごまかさずに伝えることもできるからいいよね、シンプルな演出って。なかなか演出と役者がピッタリ合うこともないけど今回はブラボーだった。
がーがー泣いたんだけど、悲しいから号泣したわけじゃなくて、みんなの中にあったわだかまりがフッと解き放たれた瞬間に安堵というか、安心感のシャワーが凄くてあぁ良かったねっていう意味での号泣に近かった。いや悲しいけど。とにかくあったかい作品。
あとあと…同性カップルの永遠の別れの時に「my friend」で終わるのすっごい良かった。
友って言葉いいよね。カップルだけど友で、友だけどカップルで。強い心の繋がりを感じたよ。
で、この作品…曲と脚本があのウィリアム・フィンなんです。「A New Brain」「Spelling Bee」の。
知っている人ならば、なんかそれだけで…あーいいわー…ってなるよね?納得の一作でした。あーほんと観てよかった。
CDは1月末発売、ダウンロード版は発売済みです!私の語彙力じゃ無理なので実際に聴いて良さを体験してください!!!
Behind the Scenes with FALSETTOS
ほんとに今年のトニー賞、マーヴィン役とウィリーウォンカ役でダブルノミネートこないかなぁ…!
First Christian Borle Gets Serious. Then He’ll Be Wonka. - NYTimes.com