わぶろぐ。

ミュージカルとか舞台が好きです。普段はTwitterに生息中

2020年の買って良かったチケット

お題「#買って良かった2020

もちろん買って良かったチケットの話を。

 

いやもうすっげー2020年だったな!!!!!!(出典:ビリーエリオット・マイケル) 歴史に残る酷い一年だったわ!!!もう!!!

私自身は劇場が閉鎖された4月~6月の記憶がまるっきりないですね。休日は僅かに稼動している映画館に行ったのと公園に行ってなぜか凧揚げしたことは覚えていますが、基本的にあの時に何をしたかというところがスポンと抜けています。劇場が再開してからは幸運にも足を運べる環境におりますので以前と変わらず(といっても色々変わりましたが)劇場に行っています。行ける人と行けない人の分断がはっきりと見えて素直に楽しんでいいものなのかわからなくなる雰囲気ではありますが。アイツのせいで以前に比べると優先順位をつけて上位の作品を複数回観る偏ったスタイルに変わったなぁと自分でも感じています。外出をして誰かと接触している時点でリスクは少なからずありますので、大袈裟に言えばアイツと引き換えに観劇したいか?という考え方に近い気もします。でもやっぱり劇場が好きだし舞台も変わらず好きなのは実感しました。

そんなこんなでこんなはずじゃなかった2020年ですが…観た作品は基本的にどの作品もレベルが高くて満足できることが大多数を占めていました。今年は!特に!女性陣が!とても強かった!!!!ということで、今年のちく田わぶ夫賞の発表よ~!

 

良かった役者さんを挙げると(上演順/観た順/初役の方のみを挙げています) 


 咲妃みゆ(シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ)

年明け早々、優勝候補じゃないか!とパニックパニック。芝居や歌の安定感、関西弁の自然さ、井上芳雄との相性の良さ、少し育ちが悪いのに透明感があるおかよを隙を見せないほど丁寧に表現されていました。


堀内敬子(アナスタシア)

堀内さんをコメディエンヌに仕立てたのは三谷幸喜だと思っていますが、アナスタシアではそれが遺憾なく発揮されて2幕のみの登場なのに強烈に印象に残っています。下品と上品の間をうまく渡っている且つ華麗なダンスも披露し…経験値が物を言うとはこのことかと唸りました。


生田絵梨花(ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~)

これはもう…超絶にニンでした。それに尽きます。純粋で純真である意味何を考えているのかわからないと言った不思議ちゃんのようなオーラはきっと彼女にしかできない。正直に言うと今まで良くないポイントとして捉えていた部分が良い方向に好転したのはちょっと衝撃でした。わたしは観られただけまだマシですが…ただ作品的にはもう1回観て深めたかったです。


一和洋輔(アラジン)

四季を退団したときにアラジンが開幕して…その時にアラジンが好きだから演じたいと言っていたいっちー。四季に戻ってその通りに有言実行したいっちー。同じアラジンを演じている役者さんを推しているわたしですが、その方に匹敵するくらいに素晴らしいアラジンで度肝を抜かれました。いっちーアラジンは群を抜いて愛すべきおバカ。でも変な嫌らしさもなくジーニーとの友情も自分なりの演じ方で構築していて7人目のアラジンなのに誰とも被らないアラジン像にすっげー!ってなりました。アラジンアラジン言いすぎな自分。


優河(ヴァイオレット)

思わず天を仰ぎました。もともと自分が好きな歌手で自分からオファーしたという藤田俊太郎の手腕よ。彼女の良さは声!声!声!ヴァイオレットの中に在る寂しさと内に秘めたパワー、聖母マリアのような優しさ、決して折れない頑固さ、糸が切れてしまうような繊細さを表現するには文句無しの歌声でした。事前のPVでものすごい素敵な声だな!と思っていたけれど、実際に生で第一声を発した瞬間に久しぶりに鳥肌が立って、あっ…これは…大勝利だわ…ってわたしにとって観なければならない大事な2人を押しのけて視界の先はずっと優河ちゃんでした。大好きです。


安蘭けい(ビリーエリオット)

個人的にはドンピシャのウィルキンソン先生でした。もともとこの役って多くは語られていないので料理の仕方は100通りだと思っていますが、瞳子さんの先生はビリーのことも見ているんだけどビリーだけじゃなくて他の生徒もきちんと見ているところがとても素敵でした。彼女がどういう生い立ちだったか何がキッカケでバレエ教室を開いたかなど私が勝手に妄想しながらですけど道がしっかりと見えるパフォーマンスでとても気持ちよかったです。


斎藤洋一郎(ロボット・イン・ザ・ガーデン)

男女2ペアでまわしているロボット(パペット)のタング。タングについてはタイプが全然違うので初めて観たペアを親と思う構図になっている気がする…。私は斎藤×長野ペアが親だと思っています。洋ちゃんは四季に入団してから比較的高頻度で観てきたのですが、特徴ある声がこんなにもロボットボイスに合うとは思わなかった。別ペアに比べるとロボットみが強くて年齢はこっちのほうが上なんじゃないかなという印象です。最初は無機質だけど段々と声にも表情が宿っていく様に何回も泣かされました。


原田千弘コーラスライン

歌声が好き。本当に歌声が好き。まじで好き。歴代のディアナの中で一番好きです。ダンサー枠でキャッツでも拝見していましたが、ここまで好みの声質だとは思わなかった。昔に作られた舞台を今の価値観とすり合わせるとこの作品をどう観ていいのかわからないなぁってちょっとズーンだったのですが、彼女の歌をもっと聴きたい!って思えただけでもなんだか救われた気持ちになりました。


新人賞的な扱いをさせていただくと…

内海啓貴(アナスタシア)/甲斐翔真(RENT)/原嘉孝(両国花錦闘士)

のお3人さんがとても良かった!将来が楽しみだなぁ! 


 

以上が個人の役者さんの感想。

作品としては、ぶっちぎりで「エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~」でした。

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佐藤隆太の一人芝居…だけど一人じゃない。なぜなら観客参加型だから。観客参加ってわたしとしてはだいぶ苦手な項目になるのですがこれは素晴らしかった。

まず方法として…開演前に佐藤隆太が観客にカードを渡す。(あくまで強制ではなくやりたい人に渡す)そこには番号と一言が書いてある。本番が始まると佐藤隆太が自身の台詞と共に突然「1!」と言う。そうしたら、1のカードを持った人が書いてある言葉を読み上げる。そうして芝居が成立していきます。人によってはエチュード佐藤隆太とやってくださいと指名される客もいました。

これを全部佐藤隆太一人でやります。すごくない?だってカードだけですごい量があるのに、3の次が30でその次が14!みたいに順番に進んでいくわけじゃないんです。しかもみんながみんな上手くできるわけじゃないし実際に数字を言われたのに気づかなくて流れが止まったこともありました。記憶力と対応能力、いやこれエグいって…。私が観たときはちょうど中学生の団体が居てめちゃめちゃ楽しかったですね。

作品としての面白さもありましたがやっぱりその演出方法に演劇のパワーを改めて感じましたし、観ている客もわかっているので失敗しても笑わない空気感、何より佐藤隆太の柔らかさと安心感が絶妙でした。東京公演はちょうどアイツがやってくる直前だったので観ることができました。地方公演は中止になってしまった回もあったのですが。人と触れ合えないときがやってくる直前に人と触れ合う演劇を観られたことがとても記憶に残っていてぶっちぎり1位として選びました。 

 


 

 ちなみに次点では「ForTune

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わたしを狂わせたのは「ヴァイオレット」と「ビューティフル」です。ごちそうさまでした。

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4作品中、3作品が芸劇だ…!

 


 

映画も今年は例年よりも多く観ました。

これもぶっちぎりで「37セカンズ」でした。今ネトフリで配信されているのでぜひ観てほしいです。脳性麻痺を持って生まれた女性の自己覚醒の話。主演の佳山明さんがとにかく素晴らしいです。前半と後半によってだいぶ血色が変わります。前半の東京の軽やかな描き方がとにかく素敵、後半はやや強引な部分もあるのですが佳山さんがキャスティングされてから脚本を書き換えたと聞いて納得の展開です。娘を心配する過保護の母親と解放されたい娘の葛藤…人間らしく生きるということはどういうことなのか改めて振り返ることができ、背中を押してくれるようなあたたかい映画です。

 


 

2020年は本当に酷い年で2021年もそのしわ寄せが来るような予感もしています。日々流れてくるニュースや情報を追うことにも疲れてくるし悪いニュースを見ながらこっちの精神を保つことがだいぶキツくなってくるときもありますが、いい作品といい役者さんやスタッフさんに会えることが何よりの活力なのでこの状況下でもものづくりを止めない皆さんの人生が幸せであってほしいなと思います。推しの皆さん、今日も明日も来年も再来年も大好きです〜〜〜!!みんなもご飯をいっぱい食べてたくさん睡眠取ってね~~~!!!!